[レポート] New Relic ウェビナー「事例に学ぶ、いま動画配信サービスに必要な顧客視点での視聴体験モニタリング」に参加してきました
こんにちは、大前です。
2020/8/26 に開催された New Relic さんのウェビナーに参加してきましたので、参加レポートを書いていきたいと思います。
事例に学ぶ、いま動画配信サービスに必要な顧客視点での視聴体験モニタリング
昨今の情勢から需要が増している動画配信サービスに対して New Relic をどう活用出来るのか、また実際に活用している事例についてバンダイナムコライツマーケティングの方にお話頂くといった内容で、動画配信周りの技術が好きな私個人としても非常に興味深いセミナーでした。
ウェビナー概要
概要
昨今、動画配信サービスへの需要は増加し続けており、新規参入や事業者間の競争も増加しているかと思います。
需要増加はビジネス拡大のチャンスでもありますが、同時にサービスへの負荷が高まりや提供品質の低下、問合せ・クレーム増加のリスクも高まっています。動画配信サービスはいかにしてビジネスの拡大と顧客満足度・提供品質の維持・向上に取り組むべきでしょうか?
本セミナーでは、バンダイチャンネルを運営する株式会社バンダイナムコライツマーケティング様をお迎えし、いま必要な顧客視点での動画配信サービス環境のあり方、そしてNew Relic を活用した視聴体験向上のためのモニタリングについて事例を交えながらご紹介します。
スケジュール
- 動画配信サービスにいま必要な顧客体験向上
- バンダイチャンネルの考える顧客視点のサービスモニタリング
- Q&A
ウェビナーレポート
1. 動画配信サービスにいま必要な顧客体験向上
スピーカー
佐々木 千枝 様(New Relic ソリューションコンサルタント)
アジェンダ
- 動画配信サービスの概況
- 動画配信サービスのユーザー体験向上に必要なもの
- New Relic による動画配信サービスの計測
- まとめ
動画配信サービスの概況
- 昨今の情勢もあり、世界、日本国内共に動画配信サービスに関する市場規模は成長を続けている状況
- また、"動画配信" と一言にいっても様々な形態が存在している
- 定額動画配信
- ライブ配信
- オンライン学習
- オンライン会議
- etc ...
動画配信サービスのユーザー体験向上に必要なもの
- 動画配信におけるユーザー体験とは?
- 見たいタイトルがある?手軽に見られる?検索しやすい?etc...
- 上記も大切だがこれだけではないと考えられる
- 動画配信サービスに関する最近の話題
- 需要の拡大に伴い、システム障害や配信品質の低下に関する話題を見かける事が多くなってきている
- 上記が発生しない(=安定的に利用できる)も重要なユーザー体験のひとつ
- ユーザーの 80% はローディング中に離脱
- 不満を感じたユーザーが SNS でその体験をシェアすると多数の人に評判が広まってしまう
- コンテンツの使いやすさだけではなく、顧客の定着・維持に関する重要な要素として品質の維持がある
- 品質の維持に投資を行なっている例
- Netflix はカオスエンジニアリングを用いて障害実験を行い、プラットフォームの安定稼働を維持している
- 「障害を絶やさない事で障害を防ぐ」
- とはいえ、品質を維持する事はなかなか難しい
- ふとしたきっかけ(昨今の例では COVID-19)で急激に需要が増加する
- また動画配信の視聴環境は様々であるため、各環境に応じた保守が必要
- 動画配信サービスの品質向上に必要な 2つのポイント
- スケーラビリティの確保
- 動画配信基盤のバックエンド(インフラ)には多くの要素が存在している
- 各コンポーネントの依存関係を理解し、リアルタイムにボトルネックを見つけ出す必要がある
- 様々なデバイスでの視聴環境の最適化
- ユーザーの手元のデバイスで何が起こっているかをリアルタイムに知る必要がある
- スケーラビリティの確保
- 品質向上における「見る」ことの重要性
- 顧客の嗜好・行動やシステムの日々の振る舞いなど・・・
- まずは Observe(観察)する事が重要となってくる
New Relic による動画配信サービスの計測
- New Relic のミッション
- デジタルサービスに対し、オブザーバビリティ(可観測性)を提供することを通じて、より完璧な顧客体験を実現することを手助けする
- New Relic について
- コンセプト ... フルスタックな可観測性を提供
- ブラウザやネイティブアプリ上における振る舞いから、バックエンドのモニタリング
- 上記にて取得したデータの可視化まで一通りを提供
- グローバルに展開している
- 日本国内でもメディアサービスに対する導入実績あり
- コンセプト ... フルスタックな可観測性を提供
- New Relic による計測と可視化
- 8言語 / 200 フレームワーク以上に対応
- 220 を超えるインテグレーション
- AWS も含む
- 1.3 兆データポイントを一瞬で検索
- リアルタイムにデータが更新されるため、障害等の発生から直ぐの検知が可能
- 動画ビジネスにとって重要な項目を計測可能
- (以下それぞれについてデモを交えた説明を実施)
- バックエンドのワークフローとサービスの監視(オンプレとクラウド)
- アプリケーションの中でボトルネックになっている箇所を迅速に特定し、改善に繋げる事が可能
- 計測データとエラーレートを同一画面のダッシュボードで確認出来たりするので、迅速な原因特定に繋がる
- ユーザーパフォーマンスの最適化は Web ページ / アプリから
- ユーザ環境(ユーザが実際に体験している環境)に関するメトリクスを計測可能
- ビデオプレーヤーのパフォーマンスとビデオ QoS
- ビデオプレーヤーに関するメトリクスも取得、可視化可能
- バックエンドのワークフローとサービスの監視(オンプレとクラウド)
- (以下それぞれについてデモを交えた説明を実施)
まとめ
- 動画ビジネスのユーザー体験向上に必要なポイントは 2つ
- スケーラビリティの確保
- 様々なデバイスでの視聴環境の最適化
- New Relic は 2つのポイントを実現するための可観測性ソリューション
- 動画ビジネス用のソリューションを提供
- 多数の導入実績もあり
2. バンダイチャンネルの考える顧客視点のサービスモニタリング
スピーカー
常川 倫生 様(株式会社バンダイナムコライツマーケティング)
アジェンダ
- バンダイチャンネルの紹介
- バンダイチャンネルの考える顧客視点とは
- 顧客視点でのモニタリング実現に必要なこと
- 現在の New Relic の利用状況
- 今後の展望
バンダイチャンネルの概要
- 自社配信サービスとしてバンダイチャンネルを展開
- アニメコンテンツの VoD 配信を中心としつつ、ライブ配信なども実施
- 版権元からコンテンツを預かって配信を行うだけでなく、他社配信サービスへの委託なども実施している
- 構成としては AWS を使用
- CloudFront, ELB, EC2, Lambda, DynamoDB, RDS, QuickSight, など
バンダイチャンネルのエンジニアが考える顧客視点とは
- 観たい時に確実に観られること = Video On Demand を極める
- 「SLA が 99.XX%〜」と謳っていても、視聴出来なかったユーザーにとっての SLA は 0%
- そのため、ユーザー一人ひとりに向き合って対応を行なっている
- アクセス元 IP の調査、視聴出来ていない時間帯のログの調査など・・・
顧客視点でのモニタリング実現に必要なこと
- ユーザーが観たい時に観れている
- インフラ・プラットフォームの状態を常時把握できている状態
- ユーザー一人ひとりと向き合う
- ユーザーの視聴状況がリアルタイムに把握できる
- より良いサービスのために
- ユーザーの好みや動向を把握できる
現在の New Relic の利用状況
- New Relic を選定した理由
- 導入・運用が容易
- プレイヤーロード時などに組み込むだけ
- ネイティブアプリでもほぼ同様の容易さ
- マルチデバイスに対応している
- 導入・運用が容易
- New Relic の使用状況
- 開発中 ... ボトルネックの早期発見に利用している
- パフォーマンスモニタリングの為に追加で実装等を行う必要がなく、手軽に利用できている
- サービス提供中 ... 基本的なメトリックの監視・アラートに利用
- インフラのスケールアップ・スケールダウン等の判断基準として使用
- ブラウザ / モバイル ... ビューのパフォーマンス・アクティビティのパフォーマンスを取得
- アプリケーションのバージョンアップ時に使用する情報として活用
- ユーザトラッキング
- uuid からアクセスをトラッキングし、ボトルネックを確認
- 今まではエンジニア側でアクセスログを調査していたが、可視化されている事によってカスタマーサポート側で一次調査が可能に
- ユーザの嗜好
- カスタムイベントを設定する事により、ユーザのアクション(どのコンテンツを視聴したか、など)を可視化できるようになった
- Flow と Stock の使い分け
- 今を知る → New Relic
- 配信開始時刻の動向
- キャンペーン開始時の動向
- 今までのことを知る → Amazon QuickSight
- 昨日の動向、先月の動向といった中長期のストック情報
- 今を知る → New Relic
- 開発中 ... ボトルネックの早期発見に利用している
- 現時点での New Relic 活用の効果
- マルチデバイスで統一的なデータの可視化を実現
- ボトルネックの早期発見、解決が可能になり、障害対応工数を大幅に削減
- 利用状況を鑑みたインフラ最適化で、インフラコストを削減
- 取得データから新たな機能の開発要件を発見
今後の展望
- バンダイチャンネルの役割 = さまざまなアニメとの出会いの場を提供
- より良いサービスの為に、New Relic をエンジニアだけのツールだけではなく、サービスサイドにも展開していく
- サービスサイドが見ても役に立つデータ、KPI を共有し、サービスの向上・改善に活かしたい
- オブザーバビリティの強化
- 映像系のオブザーバビリティの強化
- ダッシュボードの充実
- アプリやブラウザを俯瞰出来るように
- サービスサイドとの KPI の共有
- など
まとめ
- 低い導入コストで、マルチデバイスで統一的なデータの可視化が出来るようになった
- サービス、システム全体の状況把握に加え、個々のリクエストをトラッキングできることで、エンドユーザに One To One の対応が可能となった
- エンジニアメインのツールからサービスサイドと共有できるツールとして活用していきたい
Q&A
Q1. ユーザー一人ひとりに向き合って対応する為にエンジニアとして大切にしていることは?
見れなかった人にとっては SLA は 0%。そういった体験をしてしまったユーザーに対して真摯に対応するマインドを欠かさないようにしている
Q2. New Relic を使った事による、品質向上以外のメリットはあったでしょうか
データが可視化された事により、結果としてチームや組織としての一体感がより出てきた様に感じる
Q3. バンダイチャンネルではユーザの動向にデバイスごとの違いはあるのでしょうか
若い人はスマートフォンで見ている割合が多く、古くからのユーザは PC で見ているなどのデータが見えてきた。
また、スクリーンが大きいデバイスだと視聴時間も長くなるなど、ある程度の動向は見えてきている
Q4. TV デバイスにも対応しているとの事ですが、他デバイスと比較して意識している点など
TV は操作する UI が限られている為、出来るだけ操作が簡単に行える様な設計をする様に意識している
Q5. インフラコストを効果的に削減できるコツなどがあれば教えてください
アラートが上がった部分だけを見るのではなく、安定稼働している部分についても可視化して見直す事により、潜在している無駄を把握しコスト削減することができる
おわりに
New Relic さんのウェビナー、「事例に学ぶ、いま動画配信サービスに必要な顧客視点での視聴体験モニタリング」の参加レポートでした。
可視化する事の大切さやその効果がよくわかる有意義なセミナーでした。
個人的には、ビデオプレイヤーのパフォーマンスも取得出来るのは知らなかったので非常に勉強になりました。
また、データを可視化する事によって組織として一体感が増した、というお話もなかなか興味深かったです。
クラスメソッドは New Relic 様のパートナーです。もしご興味を持たれた方がいれば是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
顧客体験からシステム性能まですべてを観測「New Relic」
以上、AWS 事業本部の大前でした。